こんにちは、栃木県栃木市で注文住宅を手がけている松本住建です。 私たちは、地域に根ざした工務店として、お客様一人ひとりの暮らしに寄り添いながら、長く愛着を持って住み続けられる住まいづくりを大切にしています。
これまでの「素材を選ぶということ」シリーズでは、床材編・壁材編を通して、日常的に触れる素材、視線に入りやすい素材が暮らしに与える影響についてお伝えしてきました。
今回のテーマは天井です。
天井は、床や壁に比べると素材選びの優先度が低く見られがちです。実際、打ち合わせの中でも「天井は特にこだわらなくていいですよね?」と聞かれることは少なくありません。
しかし私たちは、天井こそが空間の質を静かに、しかし確実に左右する要素だと考えています。
目立たないからこそ、主張しすぎないからこそ、その住まいの“居心地”や“落ち着き”に大きな影響を与える──。
この記事では、天井材そのものだけでなく、天井の高さ・形状・考え方まで含めて、松本住建が大切にしている視点をお伝えします。

天井は「仕上げ材」ではなく、空間設計そのもの
天井というと、どうしても「最後に決める仕上げ材」という印象を持たれがちです。 しかし設計の視点で見ると、天井は単なる仕上げではありません。
天井は、
- 空間の広さの感じ方
- 落ち着きや安心感
- 明るさや音の響き
- 冷暖房の効きやすさ
といった、暮らしの快適性に直結する要素を数多く担っています。
私たちは天井を、
「高さ × 形状 × 素材 × 照明」の掛け算で成り立つ空間設計の要
として捉えています。
豪華さや派手さを演出するためのものではなく、 住む人が無意識のうちに「この家、落ち着くな」「なんだか居心地がいいな」と感じるための、いわば見えない贅沢。
それが天井の役割です。
天井の高さが暮らしに与える影響
高い天井がもたらす開放感
吹き抜けや勾配天井など、天井を高く取ることで得られる最大のメリットは、やはり開放感です。
- 視線が上に抜ける
- 実際の床面積以上に広く感じる
- 自然光を取り込みやすい
といった効果があり、特にリビングなどでは人気の高い設計です。
一方で、
- 冷暖房効率
- 音の反響
- メンテナンス性
といった点には注意が必要です。
私たちは「天井は高ければ高いほど良い」とは考えていません。 その空間でどんな時間を過ごすのか、どんな暮らし方をしたいのかを丁寧に伺った上で、本当に必要な高さを見極めることが大切だと考えています。

標準的な天井高がもたらす安心感
一般的な住宅で多く採用される2.4m前後の天井高。 実はこの高さは、長時間過ごす空間として非常にバランスが良いとされています。
- 圧迫感がない
- 落ち着きがある
- 家具や建具との相性が良い
- 空調効率が安定する
派手さはありませんが、毎日の暮らしに最も馴染みやすい高さとも言えます。
松本住建では、「長く住んでこそ価値がわかる心地よさ」を大切にしているため、あえてこの標準的な天井高を基本とし、必要な場所だけ変化をつける設計をよく行います。

あえて天井を低くするという選択
天井は高くするだけでなく、あえて低く抑えることで得られる心地よさもあります。
- 寝室
- 和室
- 書斎
といった空間では、天井を少し低めにすることで、
- 包まれるような安心感
- 気持ちが落ち着く
- 眠りや集中が深まる
といった効果が期待できます。
家は、常に気分を高揚させる場所である必要はありません。 心と体を休める場所があることも、住まいの大切な役割だと私たちは考えています。
和室の天井が持つ意味と奥深さ
天井について語る上で、欠かせないのが和室の天井です。
和室の天井には、
- 竿縁天井
- 目透かし天井
- 格天井
- 網代天井
- 舟底天井
など、実に多くの種類があります。
本来は格式や用途によって使い分けられてきたこれらの天井ですが、現代の住宅においてすべてを再現する必要はありません。
松本住建が大切にしているのは、
「今の暮らしに合った和の取り入れ方」です。
例えば、
- 天井だけ和の意匠を取り入れる
- 高さを抑えて落ち着きのある和室にする
- 他の空間とのつながりを意識したデザインにする
といった工夫によって、和室は特別な空間でありながら、日常に溶け込む場所になります。

天井材は主張しすぎないことが美しい
天井材そのものの種類は、実はそれほど多くありません。
- クロス(白・塗り調)
- 木目クロス
- 板張り(部分使い)
- 和室用天井材
重要なのは「何を使うか」以上に、
なぜその天井にしたのか
という設計の理由です。
天井は、空間全体を受け止める存在。 だからこそ、主張しすぎず、空間を引き立てる役割に徹することが、結果的に上質な住まいにつながると私たちは考えています。
松本住建が考える「ちょうどいい天井」
私たちが天井設計で常に意識しているのは、
- 派手さよりも心地よさ
- 流行よりも普遍性
- 今だけでなく10年後、20年後の暮らし
です。
住まいは完成した瞬間がゴールではありません。 むしろ、住み始めてからの日々の中で、その価値が少しずつ積み重なっていくものだと考えています。
天井は、その積み重ねを静かに支える存在です。

まとめ|天井は暮らしの質を底上げする存在
天井は、毎日意識して眺める場所ではありません。
だからこそ、
- 気づかないうちに心地よい
- いつの間にか落ち着いている
そんな空間をつくることが大切だと、私たちは考えています。
素材選びとは、単なるスペックや価格の比較ではなく、 どんな時間を、どんな気持ちで過ごしたいかを考えること。
天井という「見えない贅沢」を通して、 松本住建の家づくりの考え方が少しでも伝われば幸いです。
次回はいよいよ、このシリーズ全体を振り返りながら、 素材選びが住まいと人生にどんな影響を与えるのかをまとめていきます。







